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東京二期会「パルジファル」感想 [音楽]

東京二期会「パルジファル」全4公演が終了いたしました。

飯守泰次郎先生のファンであるBassドラにとって、この公演は秋のクラシック音楽シーズン最大
のイベントでした(シーズンは始まったばかりですが・・・)。
祭りが終わってしまった寂しさに浸りつつ、公演の感想をしたためたいと思います。

parsifal2012_thumb.jpg

まず、本公演成功の最大の功労者は、なんと言っても飯守泰次郎先生でしょう。
「飯守節」と名づけたくなるような、粘っこく、一フレーズずつライトモティーフ刻み込む演奏は、
速いテンポでサラリとしたワーグナー演奏の多い昨今、時流に対抗するような保守本流の演奏
といえましょう。

この、演奏者にとっては過酷とも思われる要求に見事に応えた、ソリスト、読売日本交響楽団、
東京二期会も、賞賛に値する貢献であったと思います。

特に今回は初日と二日目の間に中一日置いた以外は休みなしというハードなスケジュールで
体調維持だけでも大変なご苦労があったのではないかと推察します。

クラウス・グート氏の演出も、「パルジファル」本来の話の上に、氏独特のストーリーが平行して
展開する興味深いものでした。オペラのタイトルを「アンフォルタスとクリングゾル」と改題しても
よいほど、この二人に演出の焦点が当たっています。
逆にパルジファルの描写はいたって淡白で、ト書きに書かれている最低限の扱いしか受けません。

グート氏独特のストーリーが読み解けると結構楽しめる演出ですが、それまではかなり混乱する
演出です。尤も読み替え演出が主流のワーグナーにおいては、常に聴衆が付き合わされる
問題ですが。

舞台設定はおそらく第一次大戦~第二次大戦ごろのドイツで、帝政が崩れ市民階級が勃興し、
最後はナチズムを生み出すに至る時代です。新たな支配者を求めて彷徨う兵士と一時的な享楽
に耽る市民。そして支配されることを望む彼らが選んだのはファシズムでした。

こういうヨーロッパの歴史への強い反省意識は感心しつつも、さすがにそろそろ過去の呪縛から
自由になっても良いようにも思います。


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